平成徒然草1─00/03-00/06─ |
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1.愛しき短い歌たち 2.カルチョってサッカーのことだったんだ 3.なんと! 4.じっとしてるだけ? 5.智恵子飴って知ってます? 6.ゆずみそって知ってます? |
7.ホームページの鉄則(1) 8.更新について 9.再び更新について 10.『新訂孫子』発売 11.ここの更新って…… 12.汗顔・汗顔……(^^; |
13.日記って面白いですね 14.イラストって 15.弘前に行って来ました 16.一色のんびり宣言 17.ホームページの宣伝というのは 18.絶対に関係したくない個性 |
平成徒然草2─00/07-01/02─ |
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1.実験サイトの報告 2.辞書の話 3.衝撃的な中華料理 4.サイトの再構築 5.ワンランク上の知的生活 6.「競宴」という企画の素晴らしさ |
7.「絶望の世界」からわかること 8.読者への配慮あれこれ 9.小説の書き方について 10.とにかく宣伝したい! 11.感想を頂くためにひと工夫 12.「登場人物紹介」の需要 |
13.アクセス解析は実は必須? 14.恋愛小説って人気があるの? 15.小説系サイトも「老舗」が強い 16.一色メモあれこれ 17.小説系サイト運営の鉄則 18.ちょっと厳しいけど…… |
平成徒然草3─01/02-─ |
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1.作品に学ぶ(1) 2.読書傾向と作風 3.文学賞に応募してみて |
三月末に幻冬社の学生NET文学賞に応募しました。結果を言うと、一次選考の段階で落ちました。僕の力量は、まあ、そんなもの、なのでしょう。今日は、応募して、さらに落選してみて感じたことを、ちょっとばかり書いてみたいと思います。
不思議なことに、悔しくもないし、悲しくもなかったです。なぜかといえば、評価基準がわからないからです。ブラックボックスの中で落選は決定されるので、落選という結果に対しては、籤にでも外れたような感覚になってしまいました。
以前、僕は論文を学術誌に投稿して落選したことがあるのですが(修正後、別の雑誌に載りました)、このときは審査委員の先生がわざわざ僕と対面してくださって、論文の中で足りないところや資料解釈の誤り、論理的整合性が欠落している点などなど、厳しく指導してくださいました。このときは学会の厳しさを知ると同時に、自分の能力の不足や知識の不足、認識の甘さなどを文字通り痛感し、その後の研究態度を一新するまでに至りました。
ところが、今回は「落選」という結果があるだけで、どうして落選したのか、ほかの入選作との違いはどこにあったのか、という点は自分で探さなくてはなりません。ですから、確かに自省はするのですが、実感としては薄い感じがします。
とにかく、もっともっと腕を上げたいと思います。
この作品を応募する前、妻や母に目を通していただいたのですが、ほぼ全員の方から「つまらない」というお墨付きをいただきました(^^)。僕としては、「そんなにつまらないのかなあ」と、ちょっと不服だったのですが、一次選考で落選しましたから、やはり「つまらない」のでしょう(ふぅ)。
そんなこんなで、落選作「空虚な人形 卵の揺らぎ」を、隔週連載という形で公開することにしました。「どんなレベルの作品なら落ちるのか」という点が気になる方は、「反面教師」として見てみて下さい。
URL:http://www.mni.ne.jp/~t48563/novel/index.html
僕の口から特別に言うまでもありませんが、普段の読書傾向と作風って、密接に関係するものですね。
僕はミステリを書くのですが(近々旧作を撤去します)、どこかで会話が京極夏彦そのまま(つまりパクリ)と評されていました。もちろん僕自身には、その自覚はありません。読者に代わって質問するキャラがいて、その質問に対して答えるキャラがいる。ただそれだけです。京極夏彦も何も、僕自身は「無個性な会話」だと判断していました。それでも、会話が似ていると評されている以上、やはりどこかで僕は影響を受けていて、知らず知らずのうちに出てしまっていると考えた方がよいのでしょうね。
そんなわけで、普段の読書傾向が、そのまま無意識のうちに作風に反映されてしまうというのは、よくあるような気がします。これは意識的に回避しないと、独創性の欠落につながりそうでこわいです。
この「作品に学ぶ」シリーズでは、紹介文検証企画に投稿して下さった作品から、小説を書くに当たって役立つ技術を学んでいきたいと思います。将来的には、プロの話やほかのネット小説も取り上げる予定です。それでは、まずCARMINEさんの『ロールキャベツと青い鳥』から。
『ロールキャベツと青い鳥』は紹介文検証企画に参加した作品の中で、もっとも集客しました。その理由はずば抜けて個性的な出だしにあったと思っています。
何度か書いていますが、この作品は「ロールキャベツ愛人? なんだよ、それ」という出だしのセリフが秀逸で、このセリフで一気に話に引き込まれます。冒頭のシーンで、みちる先輩と青嶋の関係(力関係っていうんでしょうか)とキャラクタたちの個性が充分に書き込まれていて、このあたりも実に見事です。
また作品のテーマは「幸せって案外近くにあるものだ」という馴染み深くて、かなりロマンティックなものなわけですが、個性的な出だしに加えて、「俺」の語り口が洒落っ気に溢れるもので、こうした作品にありがちな「むずがゆさ」が薄まっています。
というわけで、学んだ点は二点。
ひとつは「短編は出だしが命」という当然の結論です。魅力的な出だしは、それだけで最後まで作品を読ませる力を持ちます。今回の検証では、作品の冒頭をそのまま紹介文にしたわけですが、冒頭が魅力的であったからこそ、多くの方が紹介文を見て作品に惹かれ、この話を読んで下さったのだと思います。
もうひとつは、ありふれた、それゆえ根元的なテーマを扱う場合には、扱い方を独創的に工夫しないといけない、という点です。僕の考えでは、テーマ、設定、構成(展開)、文体(広義の)、結末あたりが独創性を発揮できる箇所になると思うのですが、『ロールキャベツと青い鳥』はテーマ、設定、結末の点ではさほど独創的ではありませんが、展開や文体といった点で独創性を発揮しているので、読んでいて新鮮な印象を受けました。
いやあ、勉強になりました。
□CARMINEさん/『ロールキャベツと青い鳥』/RH.ONLINE 文庫:http://romantic-hell.net/www/works/
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