平成徒然草2

平成徒然草100/03-00/06
1.愛しき短い歌たち
2.カルチョってサッカーのことだったんだ
3.なんと!
4.じっとしてるだけ?
5.智恵子飴って知ってます?
6.ゆずみそって知ってます?
7.ホームページの鉄則(1)
8.更新について
9.再び更新について
10.『新訂孫子』発売
11.ここの更新って……
12.汗顔・汗顔……(^^;
13.日記って面白いですね
14.イラストって
15.弘前に行って来ました
16.一色のんびり宣言
17.ホームページの宣伝というのは
18.絶対に関係したくない個性
平成徒然草2─00/07-01/02─
1.実験サイトの報告
2.辞書の話
3.衝撃的な中華料理
4.サイトの再構築
5.ワンランク上の知的生活
6.「競宴」という企画の素晴らしさ
7.「絶望の世界」からわかること
8.読者への配慮あれこれ
9.小説の書き方について
10.とにかく宣伝したい!
11.感想を頂くためにひと工夫
12.「登場人物紹介」の需要
13.アクセス解析は実は必須?
14.恋愛小説って人気があるの?
15.小説系サイトも「老舗」が強い
16.一色メモあれこれ
17.小説系サイト運営の鉄則
18.ちょっと厳しいけど……

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ちょっと厳しいけど……(00/02/--)

 今日はちょっと耳に(心に?)痛い話をします。

 オンライン小説のレベルは低いのか、という議論がしばしば起きます。このサイトでは、僕が「ネット小説が稚拙なのは当たり前」と明言しているためか、こうした議論は起きたことがありません(「ネット小説はそもそも稚拙?」より)。

 さて、ネット小説のレベルに関する議論が生じるとき、必ず提出されるのが、「稚拙な作品を無反省にアップし、ネット小説界全体のレベルを下げる人間はいるが、自分は全力投球して恥ずかしくないものを世に出しているつもりだ。また数は少ないが、中には抜群に面白い作品もある」という書き手側の意見です。議論に参加するのはすべて(!)オンライン作家ですから、だいたいはこんな感じになります。自分が書いている以上、「レベルが低い」だの「稚拙」だのと発言してしまうと、「おまえの作品はそんなにレベルが高いのか!」と反発を買いますから、「レベルが低いものもあるが、高いものもある」という相対論に逃げるしかありません。

 というわけで、議論としては、非常に非建設的と云わざるを得ません。

 まず「オンライン小説のレベルは低いのか」という問題設定が間違っています。「オンライン小説」とひとくくりにした段階で、レベルが高いものも低いものも(僕の習作も井上夢人の斬新な作品も!)含んでしまうからです。井上夢人(『ダレカガナカニイル……』のミステリ作家)がどれだけレベルを押し上げたところで、平均すれば、大量の「習作」(もちろん自称。あるいは、「駄文」と称している方もいます)に引き下げられて、結果的に「レベルは低」くなってしまいます。それどころか、プロ作家の作品はネット小説の範疇に入らないと見なされることが多いので、ますます「レベルは低い」という結論になります。

 そこで、「自分は頑張っている」という「心がけ」の問題に議論はシフトするわけですが、実はこれはナンセンスな反論です。心がけや努力と結果とは緊密に関係していないからです。結果というのはもちろん「その作品が面白い」という結果です。いくら「名作を送り出そう」という心がけを持っていたところで、技術的な修行が足りなければ、結果としては稚拙な作品ができあがります。これは、高校生がいくら立派な意見を持っていたとしても、小論文を書かせれば、技術的な未熟さから稚拙な小論文ができあがるのと同じです。

 そもそも、どうした点に注意すれば、面白い作品になるのか、という点が明確ではないはずです。なぜなら、作品の面白さについて評価するというのは、文学研究の最大の難問だからです。研究者の多くは自分なりの評価基準を設定し、その基準で面白いかどうかを論証します。ですから、この点に優れていれば、面白い作品になる、という点(もちろん複数)を自分で設定し、その目標をクリアする、という形でしか、面白い作品を書く努力はできないと思います。

 また時流に合しているかどうかもポイントになります。少し極端な話になりますが、最近のミステリは漫画から影響を受けた作家が多く、また読者層も漫画の読者層と重なるため、特異なキャラクタ重視、わかりやすさ重視、エンターテイメント重視という傾向が強くなっています。当然、従来重視されてきたような人間描写・リアリティは二の次になります。表現についても、美麗な表現や含みのある個性的な表現は排除され、わかりやすい文章が好まれます。ですから、特異なキャラクタなし、エンターテイメントなし、人間描写・リアリティ重視では、なかなか読者は獲得できないかも知れません(ただ人間描写が秀逸な天童荒太、リアリティ重視の真保裕一が売れていますから、こうした時流も終わりかけているかも知れません)。

 さらに読者に関しても、勘案する必要があります。読み手全体を「読者」とひとくくりにした場合、読解力のある読者も、エンターテイメントだけを求めている読者も、文学的センスに溢れた読者も、とにかく多種多様な読者が含まれます。書き手側の設定した基準が気に入らない読者も当然いるはずです。エンターテイメント好きの読者は人間描写・テーマ性重視の文学作品を読むことは少ないですし、あるいは、強引に文学作品をエンターテイメントとして読んだりします。また人間描写に関しては、読者の「人生経験の豊富さ」という点も、読み方に影響を与えるポイントです。

 例えば、今まで心が張り裂けるような恋をしたこともない、友人の裏切りにあったこともない、恋人と泣きながら別れたこともない、両親に対してはいまだに反抗しているか無関心、子供を愛おしいと思ったことはない、一生結婚はしないなどと嘯いている、そもそも社会に出たことがない、接している人間が偏っている……などなど。もし読者がこんな感じで人生経験に乏しかった場合、感受性が豊でない限りは、恋人との別れのシーンに涙することはありませんし、母親が子供を抱きしめるシーンに心暖かくなったり、ひとりビールを飲む父の背中に哀愁を感じたりすることもありません。よく人生経験に乏しい人間は作家になれないなどと云われてきたのは(最近は聞かなくなりました)、そうした作家の人間描写にはリアリティがなく、読者の感動を導けないとされていたからです。

 というわけで、書き手側がいくら努力したところで、書き手自身が技術的に未熟か、あるいは、読み手が読解力や感受性に乏しければ、その作品は面白いと感じていただけない可能性が高くなります。また読者の多くが、どの点に面白さを感じるのか、という点をリサーチしていなければ、当然、読者の多くに面白いと感じていただける作品は書けません。したがって、アクセスを集めるような人気作品を書きたいなら、少なくとも「わかりやすいエンターテイメント作品」を念頭に置く必要があります。

 そうではなく、自分の書きたい作品を書く、あるいは、今は文章修行中、というスタンスを貫くなら、そもそもアクセスの多寡やレベルの低さに関して気にする必要はありません。ちょっと長くなりますが、瓶井めぐみさんが掲示板で

「娯楽系以外の作品は、各ページ解析はつけていません。それどころか、小説検索エンジンへの登録もしていないものも多いです。自分に真摯に書けるかが一番の問題ですが、人気を気にしてしまうと、余計な色気が出てダメになってしまいそうなのです。」

とおっしゃっているのは、実に見習うべき態度だと感動しました。

 といっても、アクセスは気になりますし、やはり面白い作品を書いて読者に面白いと云っていただきたい、というのが書き手側の本音。まずは努力の方向を決めるため、「面白さ」の基準を自分なりに設定するところから始まりそうです(でも、これが難しそう)。

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小説系サイト運営の鉄則(00/02/01)

□読者の批判に反論してはいけない

 小説を公開していると、しばしば「〜という点が残念でした」(弱め)とか「〜という点がダメだった」(強め)という内容の感想書き込みがあります。書き手側とすれば、「残念」とか「ダメ」と云われても、こちらの意図には合致している(書きたいように書けている)のだから、「残念と思うおまえの読みが間違っている!」と反論しがちですし、実際、反論している方を見たりします(僕はとりあえずこちら側の意図を伝えます)。

 この場合、「ダメ」といった読み手も、反論した書き手も間違っていると僕は思っています(「残念だった」はもちろんOKです)。なぜかというと、読み手によって読み方は千差万別で、熱心に裏の裏まで読みとってしまう熱心な読者もいれば、文章の表面上だけさらりと読み飛ばしてしまう読者もいます。またその作品に対して期待するものも、読者によって変わります(「ハッピーエンドが良かったのに」と「ハッピーエンドじゃありきたりすぎ」など)。

 さらに云えば、書き手が期するものと読み手が期待するものとでは、後者の方がより厳しいですから、いくら書き手が「僕はアマチュアだし、これくらいで勘弁してもらおうかな。更新の間も開いちゃうし……」などと思っていても、読み手は「手抜き!」と怒ったり失望したりします。

 というわけで、ごくたまに読者からシビアな反応が掲示板にあった場合、むきになって反論したりすると、一気に「荒れ板」になり、結果としてすさんだサイトになる可能性があります。このあたり充分に気をつける必要がありそうです。

 ※僕はこうしたシビアな論争ができる掲示板があれば良いな、と思っています。書き手も読み手も大人で、建設的な議論ができるような掲示板が。シビアな意見が欲しい方、いらっしゃいますか?(でも、荒みそうですね。大人になるのは難しいですから)。

□序章だけの長編は登録してはいけない

 メリットがないからです。

 序章だけの長編をポータルサイトに登録した場合、それを見てとりあえず訪問した読者は、「序章しかない」→「続かない可能性が高い」→「読んでも無駄」と判断して読まずに即バックするか、あるいは、「序章しかない」という点に気づかずに読み、序章だけで終わっていると気づいた段階で、失望する可能性が高くなります。

 実際、アクセス解析を見ると、序章(第一話)だけをアップしてもアクセスは伸びず、第二話、第三話がアップされたあたりから、第一話のアクセスが上がり始めます。これは「この話はきちんと続く」 と読者に信頼感を与えるためだと考えられます。

 ですから、長編を登録する場合は、第二話、第三話と、ある程度続きをアップしてからの方が読まれる確率は高くなるはずです。

 長編の場合、いくら長くとも(五十話でも百話でも)ポータルサイトに登録できるのは一回だけですから、この貴重な一回で効果的に読者を獲得できる状態まで持ち込んでいないと後悔しそうです。

 というわけで、僕が提案する宣伝戦術は、

  1. 長編はある程度の読者が獲得できてからポータルサイトに登録する。
  2. 短編を頻繁に書き上げ、ポータルサイトに登録する。
  3. 短編で獲得した読者を、長編に振り分ける(サイトデザインを「長編」に流れるように仕向ける)。
  4. 長編を定期的に更新する(長編の読者は確実にリピータになるため、短編の読者よりもアクセス向上に寄与する)。
  5. 長編は必ず完結させる(→次の連載の読者になっていただくため)。

といった感じです。

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一色メモあれこれ(掲示板からの抜粋)(00/02/01)

□一色メモ01:アニメGIF

 アニメGIFは非常に好まれます。
 僕の妻は、市町村のホームページ作成に関してプレゼン(要するに営業)をしていたりするのですが、決まって「動かしてくれ」という要望があるそうです。
 アニメ
GIFは見た目は派手で目立ちますから、好んで使われています。
 ところが、例えば、ディスニーのホームページから派手に動いていたアニメ
GIFが消えたように、「アニメGIFは邪魔」というユーザー側からの意見が多いそうです。正直に言って目障りだとか。
 そのうえ、アニメ
GIFは総じて「重い」ので、表示パフォーマンスを悪くする、という欠点があります。ヘタすれば、フリーズ、なんて事態も引き起こしかねません。
 というわけで、アニメ
GIFは、ここぞ! というポイントに絞って使った方がいいみたいです。

 ちなみに、「鉄琴銅剣楼」トップページの雪だるま、実はアニメ
GIFなんですけど、気付いていた方っていますか?(先日、妻が見付けて「あ! 動いてる!」なんて驚いてました)。

□一色メモ02:文章表示

 読みやすいレイアウトに関して僕は「段落ごとに一行空けると読みやすい」なんて書いていますが、実は自分で小説を書く場合にはこの「一行空け」を採用していません。理由は「小説のレイアウトじゃないから」です。この点は「レイアウトにひと工夫」の最終章に書きました。

 ネット上の小説を読んでいると、「段落ごとに一行空け」や「一文ごとに一行空け」をよく見ます。もちろん「読みやすさ」のためです。実際、こうした工夫によって読みやすくなるので、この「鉄琴銅剣楼」のファイルは、ほとんどが「段落ごとに一行空け」を採用しています。

 しかし小説の場合、実はこうした形式に、僕はかなりの違和感を覚えます。

 一行を空けた場合は場面転換、あるいは、時間的推移、という印象を僕は持っていて、一行が空くたびに「しばらくして」とか「その頃、別のところでは」といった感じに解釈するので、場面が連続していたりすると、かなり戸惑います。

 でも掲示板の反応を見ていると、こうした点に言及した書き込みは一度も見たことがありません。

 これって僕だけでしょうか?

※裏話……こんな感じで掲示板に書き込んだのですが(一部改訂)、賛成意見はほとんどありませんでした。どうやら、この違和感は僕だけのようです。みなさん、気にせず「段落ごとに一行空け」や「一文ごとに一行空け」を採用して下さいね。少なくとも「行間なし」よりは読みやすくなります。

□一色メモ03:プロットについて

 日記に書きましたが、僕は「構成に緊密さがない小説」を低く評価しています。これは僕が作品の「テーマ性」にこだわっているからで、そもそも「テーマがない」小説であれば、構成に緊密さがなくても全然構いません。またエンターテイメントの場合も、それが面白ければ、どんな描写も楽しんで読みます。

 僕は短篇を書く場合、場面単位のプロットを作っています。「一色メモ」と重複しますけど、まず「テーマ」、次に「場面」、そして「登場人物」という順番で、プロットを作成します。あとはプロットに沿って肉付けしていけば、お話ができあがります。

 僕は、このプロットづくりが好きで、その後の肉付け作業はあんまり好きではありません。プロットだけで満足してしまいます。高校時代に書いた大量のプロットが今も手元にあります(昔から好きだったみたい)。

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小説系サイトも「老舗」が強い(00/12/28)

「人気サイトを作るなら、老舗のある分野は避けろ」というのは、アクセス向上系の書籍やサイトで頻見する常套句です。これは小説系サイトでも例外ではなく、やはり「老舗」が強いですね。

「老舗」が強い理由はいくつかあります。まず安定したアクセス数を確保できていること、またこれと密接に関わりますが、被リンク数が圧倒的に多いこと、です。こうした要素を僕は「基礎体力」と呼んでいます。この基礎体力はサイト開設後一年くらいで安定すると思われます。

 小説系サイトにおけるアクセス向上の基本は、「作品の面白さ」と「リンク数」だと思います。「作品の面白さ」は当然として(かつもっとも難しい点でもありますけど)、「被リンク数」(=リンクをはって下さっているサイトの数)というのは意外に見落としがちですし、短期間では達成が難しい点です。一番活動期間が長いこの鉄琴銅剣楼でも、被リンク数は20強くらいになります(これには、僕がこうした活動に消極的だから、というのも大いに関係しています)。

 アクセス解析によると、もっとも多いのは「ブックマーク」を利用するリピータの方々で、訪問者数のおよそ八割を占めます。残りの二割は、ほとんどがリンクして下さったサイトからの訪問者で、<goo>などの大手検索エンジンを伝って来る方は恐ろしく少ないです。ですから作品の面白さでリピータをがっちりキープすると同時に、いろいろなサイトからリンクされること──これが実はもっとも効果的な宣伝方法と考えています。

 「老舗」サイトというのは、もちろん作品が面白いですし、被リンク数も累積で膨大な量になっていますから、こうしたサイトと同等のアクセスを得るのは、新規サイトにとっては至難の業でしょう。

 また驚くのが、「老舗」サイト管理人の「マメさ」です。あらゆるポータルサイトに登録し、あらゆるサイトのランキング上位に食い込み、さらに驚くほどいろいろな掲示板で定期的に宣伝する──「老舗」サイトは決して努力なしでできあがったわけではないことがわかります。特にランキングでは、投票式にせよ逆アクセスランキングにせよ、基礎体力があるサイトが圧倒的に有利なので、上位はだいたいがどこでも眼にするサイトばかりになっています。そしてこのランキング上位入りが、さらなるアクセス数の確保につながっています。

 というわけで、「老舗」サイトは圧倒的に強いですし、その強さはそれまでの管理人の弛まぬ努力と作品の面白さに支持されています。ですから、新興サイト管理人の方は、こうした「老舗」にはまず勝てない、と覚悟するところからはじめる必要がありそうです。ちょっとだけ悲しい結論ですけど。

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恋愛小説って人気があるの?(00/11/22)

 僕は小説系サイトを二つ運営しています。ひとつは「DarkSide」でミステリ・ホラーを中心に、もうひとつは「LightSide」で青春小説・恋愛小説を中心に発表しています。

 両方ともコンテンツは小説と日記(「ワリミス」)、掲示板だけで、ほかには何もないという、まさに直球派小説サイトです。イラストや書評のコーナーすらありません。

 さて、ここで「恋愛小説って人気があるの?」といったのはほかでもありません。両者のアクセス数に格段の差があるからです。

 どれくらい差があるのか、具体的数字をあげると(最近一ヶ月分、UltraRanking調べ)、

DarkSide

■一日平均アクセス数 60 (44min 108max)

■最高アクセスファイル(累計)
 『魔刻』第零話 228 (九月初旬公開)

LightSide

■一日平均アクセス数 80 (27min 134max)

■最高アクセスファイル(累計)
 『雨が上がったその後に』 956 (十月中旬公開)

 となります。

 ちなみに「DarkSide」は今年の四月頃から活動を開始、いったんは一日平均40アクセスになったものの、更新を滞らせた八月に一日平均15アクセス程度まで落ち込み、十月頃からようやく55−70のアクセス数を得られるようになりました。

「LightSide」の方は開設したその日から一日40アクセスを達成。その三日後、「HONなび」に登録されて一日100アクセスを突破。以後、落ち込みかける頃に定期的に新作(続編)を公開したため、一日平均55-90のアクセスを維持しています。

 この結果からわかることは二点。

 ☆ 「ミステリ」「ホラー」と比べて「恋愛小説」には顕著な集客効果がある
 ☆ 「定期的な更新」+「ポータルサイトへの登録」はアクセス数を維持する

 また具体的なデータを載せていないので、説得力はないかもしれませんが、

 ☆ 「HONなび」の新着に並んだ日をピークに、アクセス数は緩やかに下降線を描く
   (※ 底打ちしそうなころ登録するので、翌日にはまたピークに達しています)。

 注目すべきは『魔刻』-「228」、『雨の上がったその後に』-「956」という数字の差で、かなり驚きます。ちなみに「鉄琴銅剣楼」で最多アクセスはこの「平成徒然草」で「461」。うーん、何だかなあ。複雑な気持ちになります。

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アクセス解析は実は必須?(00/11/13)

 今回は「アクセス解析はいらないかも……」と一見矛盾した内容をお話しします。

 サイト運営には「アクセス解析」と「アンケート」とが必須だそうです。サイトの安定的な運営のためには、ユーザーの要求に合わせて改善を続ける必要があり、このユーザーの要求を吸い上げる手段が「アクセス解析」と「アンケート」だからです。

 この場合、アクセス解析と云っても、生IPを抜くとか、直前の参照ページを抜くといったレベルの解析ではなく、各ページに付けた隠しカウンタ程度だと思って下さい。僕のお薦めは「Lime Counter」で「KENT WEB http://www.kent-web.com/」で配布しています。 ページ毎のアクセス数が一覧で把握できるので、参考になります。

 こうしたCGIでアクセス解析を行うと、どのページへのアクセス数が滞っているか、どのページへのアクセス数が伸びているか、という点が如実に現れます。

 例えば、「DarkSide」では、『魔刻』のアクセスがトップで、次が『凍てついた風』、そして『時計坂のおかしな住人たち』『優しい人』『沈む象牙の塔と浮遊する子供たち』『疾走する若者』『第三の人格』『邂逅』『接触』『開けゴマ』と続きます。累積ですから、アップロードの日時によってアクセス数は影響されてしまいますが、『開けゴマ』以外は公開以来一月かそれ以上経っているので、データのばらつきはかなり落ち着いていると思います。継続してアクセス数を伸ばす作品はないからです。

 さて、このアクセス数の順番、実はほぼインデックスの並び順に対応しています。見ていただければ了解していただけると思いますが、「DarkSide」では『魔刻』の隣に『時計坂のおかしな住人たち』、その下に『開けゴマ』(リンクを張ったばかり)と『優しい人』、ぐっと下がって『沈む象牙の塔と浮遊する子供たち』と『凍てついた風』(「九月初旬公開)とが並んでいます(00/11/13現在。近日デザイン変更予定)。

 そこで、これらのデータを元にサイトの構造を改善していきます。

 例えば、自信作(僕の場合は『時計坂のおかしな住人たち』)をアクセスされやすい位置に持ってきたり、逆にあまり自信のない作品をアクセスされにくい位置に移動させたりします。サイト構造を改変したあとは、数日後にまたデータを検討してさらなる改善を行います。

 小説系サイトの戦略としては、新規の訪問者にまず自信作を読んでいただき、リピータに別作や新作を読んでいただく、というのが、もっともスタンダードだと思います。読者は一作目に失望すれば、それ以上は読みません。また逆に、一作目に強く惹かれれば、二作目に失望しても、三作目四作目と読む可能性は高いです。ですから、最初に読んでいただく作品が極めて重要になるんですね。

 そこで、データを参考にし、自信作順にアクセスされやすいよう配置します。そのうえで新作へのアクセスも簡便にします。

 アクセス解析は、こうしたデザイナ側の意図が忠実に反映されているかどうかを見極めるために有益な手段だと思います。ただ「アクセス解析」は自サイトの閑古鳥具合も厭と云うほど見せつけてくれますから、アクセスの少ないうちは強い意志がないと落ち込みます。

■アクセス傾向豆知識

 完結作へのアクセスは「第一話(序章)」と「最終話(終章)」が多いです。ですから第一話の冒頭、そして最終話の冒頭はかなり意識を集中させて書く必要があります。まあ当たり前と云えば当たり前の結果ですが、僕は最終話のアクセスが伸びることにかなり驚きました。

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「登場人物紹介」の需要(00/11/04)

 十月三日付「読者への配慮あれこれ」で「『登場人物紹介』はあると便利かも」と発言しています。そこで、小説系サイト「DarkSide」「LightSide」に「登場人物紹介+α」をそれぞれ載せました。

「DarkSide」では「時計坂シリーズ」という、架空の街「時計坂」を舞台にしたミステリ群を書いているので、「時計坂シリーズをもっと知りたいあなたのために」と題して、作品相互の相関図(時間的推移)や登場人物紹介、舞台である「時計坂」に関する豆知識(本編と全く関係なし)、キャラクタのモデルに関する裏話などを載せました。

「LightSide」では「雨の上がったその後に」という連作短編を掲載しているだけなので、「『雨の上がったその後に』をもっと知りたいあなたのために」と題して、この作品の登場人物紹介と裏話を載せました。

 驚いたのは、これらのコンテンツの需要です。

 これら二つのサイトでは、ネット小説研究のためにサイト内でアクセス解析を行っているのですが(JAVAの関係でご迷惑をおかけしております)、これらの「登場人物紹介+α」は他の小説を抜く勢いで集客しています。

「LightSide」では連作短編ひとつですから、さすがに登場人物紹介のアクセスは「雨の上がったその後に」第一話のアクセスと比べて六分の一程度に収まっています。しかし同時に掲載している超短編七本と比べると、二倍から三倍近いアクセスがあります。

 また「DarkSide」では掲載小説数が十二本あるにも関わらず、登場人物紹介が「魔刻」に次いで二番目にアクセスの多いコンテンツになっています。

 これらの結果から、「登場人物紹介」には大きな需要があることがわかります。ですから「登場人物紹介」は読者の方々にも望まれているコンテンツだと判断して良いでしょう。

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感想を頂くためにひと工夫(00/10/27)

 感想は欲しいものですよね。掲示板に「素敵なお話でした」との一言。それだけですごく嬉しくて、「よし、もっと素敵な話を書いてやる」なんて鼻息を荒くしたりします。

 でも感想はなかなかもらえません。

 感想を書こうと思っても、たった一言だけじゃあ失礼な気もするし、宣伝書き込みと思われるのも厭。かといって、しっかりとした感想を書こうと思っても、今度は照れくさいし、何て書けばいいのか困るし、よく伝わらないのも厭だし……結局面倒になってしまう。

 僕もなかなか感想を書けません。ですから感想を頂けない理由もわかる気がします。そこで感想を頂くための工夫をいくつか。

感想フォーム

 竹原さんに教えていただいた工夫です。

 あらかじめ選択肢を絞った感想フォームを用意しておき、選んで送信するだけで感想を残せるようにする。感想を下さった方には記念短編をプレゼント。

「記念短編」は感想を下さった方への感謝の気持ちを形にしたものです。同時に、「記念短編」を読みたいという熱心な読者の方にとっては、感想を残すきっかけになります。

 僕はこんな形で、小説系サイト「DarkSide」に「感想フォーム」を用意しました。設置直後にジオがダウンしたこともあって今のところ(00/10/27)反応はありません。

 なお感想フォームは「フォームメイラー http://www.future-spirits.co.jp/service/formmailer/index.htm」を利用すれば、CGI不許可のサーバの方でも設置できますし(無料で)、CGI許可のサーバの方は「Tacky's Room http://tackysroom.com/」の『書きま帳』(「その他」に分類されています)がおすすめです。またこのスクリプトはsendmail利用不可の無料サーバでも使えますので、ますますおすすめです。

 成果のほどはまたご報告します。

本編を読めるのは感想を下さった方だけ

 序章など話の冒頭だけを公開し、続きは感想を下さった方だけに公開するという工夫です。これはろんさんが以前掲示板に書き込んで下さった工夫です。ろんさんは実際に使ってらっしゃいます。

 ただ絶大な人気を誇る作品を擁するろんさんだからこそできた工夫ですね。もし僕がこの工夫を採用したら、本編の読者がゼロなんてことに……。

 なかなか採用には勇気が要る工夫です。

自分から感想を書く

 創作系サイトを開いている大部分の方が感想を糧に活動しています。ですから、こちらから感想を書けば、喜んでいただけますし、親しみと好意を覚えて下さいます。自然、感想が返ってくる可能性が高くなります。

 ただ難しいのは、下心を持って感想を書くと、自然とその下心が滲み出てしまうということ。それになかなかお世辞では感想を書く気になれないですよね。

 僕は本当に何らかの感情を抱いたときだけ、その感情を素直に感想として残すことにしています。また感想は望まれているわけですから、臆せず残そうと決めました。ただ何の感想も抱かなかったり、気に入らなかったりした場合には、感想は残しません。

 感想を待っているだけではなかなかもらえませんし、それはわがままというものだと思います。ですから、まず感想を残すところからはじめてはいかがでしょうか?

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とにかく宣伝したい!(00/10/16)

 効果的な宣伝方法とは異なりますが、とにかく小説系ポータルサイトに片っ端から作品を登録するという手があります。ひとつひとつの効果はあまり顕著ではなくとも、まとめて登録すれば、かなりの宣伝にはなりそうです。

 そこで、ここでは小説系(もしくは小説も登録できる)ポータルサイトを紹介します。

楽園
 投票形式のランキングがあります。 週刊ランキング上位入り、もしくは、殿堂入りできれば、他のサイトを圧倒する宣伝効果を得られます。一色最大のおすすめ。

HONなび
 ランキングはありませんが、新着情報がトップページに並ぶため、新着時の集客効果は楽園を凌ぎます。

サーファーズパラダイス
 小説のほかイラストや各種パロディものを掲載している方は、ここがおすすめです。ただし「内容の薄い」サイトの登録はできないとの規定がありますので、まだ立ち上げたばかりのサイトは利用できないです(残念! 一色はここに登録するために小説を書きました)。

コミコミ.ねっと
 イラスト中心です。いわゆるコミケのウェブ版だそうです。サーファーズパラダイスと同じく、イラストやパロディを掲載している方にはおすすめ。

■ノベルステーション
 投稿サイト。全作品テキスト形式ダウンロード。自作を投稿できます。宣伝のためだけに用いるのは、このサイトの趣旨に反するので止めましょう。

■真・小説げったあ!
 一色がお世話になっているサイトです。個人経営でのポータルサイトなので、楽園などとはやはり差がありますが、連日登録小説は増えていきます。

Pastime
 ファンタジーに特化したポータルサイト。今はすっかり一色のお気に入りです。ファンタジー小説を書いている方はここ! こうしたジャンルを特化したサイトはこれからも増えていくでしょう。

Novel Search
 投票形式のランキングがあります。楽園とは異なり、投票ボタンを自サイトに置くことができるので、おすすめです。ただし三位以内に入らない限り、得票数はわかりません。これは残念。

■100万人の小説Web
 発展途上のポータルサイトです。逆アクセスランキングが面白いです。ただ現在のところ新着は圧倒的に不利です。ここで紹介しているサイトの中で集客効果が最も薄いと推測されます。ただ勢いはあるので、システムの改善が望まれます。


 現在、一色が把握しているのは、これくらいです。他にもありましたら、ぜひお教え下さい(共同研究室へ)。

 さて、ここで注意。

 一気に大量に作品を登録する方がいますが、集客効果という点ではマイナスです。なぜなら新着情報に掲載されている期間が最も集客効果を発揮するからです(ランキング上位入り、殿堂入りなどを除く)。ですから、複数の未登録作品を要している場合、三日から一週間のスパンを置いて登録すべきでしょう。継続的に新着に並ぶことができれば、継続的にアクセスを得ることができます。

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小説の書き方について(00/10/12)

 実は僕は「小説の書き方はない!」と考えています。ですから、ここで小説の書き方について何かを説くわけではありません。まあ、僕はプロの作家でも何でもないわけですから、ここで小説作法の指南をするのはおこがましいというものです。

 さて、これは個人的な考えですが、オリジナリティと物語があれば、小説として成立していると思っています。物語すら要らないかも知れない、と考えていますが、それは「小説」の定義から外れるので強くは主張できないところです。

 基本的に小説は自由に書く。想像の赴くまま、散文で物語を紡いでいく──そう考えています。ですから、「小説の書き方」と称されるいろいろなルールや技法というのには、僕は否定的なんですね。オリジナリティを削ぐからです。

 などと云いながら、高校のとき、こっそり「小説の書き方」を読みました(^^)。内容はけっきょく文章論に過ぎず、そこらの『文章読本』と同工異曲のもので、がっかりしたのを覚えています。小説は内容と表現(形式)という二つの要素に別れますが、やはり内容に関する指南は難しいのでしょう。他にもちらちらと「小説の書き方」を見ていますが、表現に偏ったものがほとんどですね。

 小説家になりたい。自分が想像するこの物語をみんなに伝えたい──そう考えて、今、どのようにして小説を書こうかと悩んでいる方も大勢いらっしゃるかと思います。

 そこで、小説の書き方について指南しているサイトがありますから、僕の知っているもので二つほど紹介しましょう。両方とも有名なサイトですから、知っている方も多いと思います。

 「小説研究投稿HPアエーマ

 ノベルステーション内「小説の書き方」

 両方とも非常に参考になると思います。特に前者はサイトのテーマを小説作法研究に特化しているだけあって内容も豊富です。

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読者への配慮あれこれ(00/10/03)

 「読者への配慮あれこれ」というのは、ネット小説研究室の「ワンランク上の小説系サイトを目指して」に付け加える予定の一章です。なかなかまとまらないので、とりあえず簡単に。

ダウンロードファイル

 まずダウンロードファイルについて。

 常時接続という恵まれた環境を持たない限り、読者はhtml化された小説をいきなりその場で読むというのはしないでしょう。多くの読者は小説ペ−ジを次々とダウンロードし、一旦接続を切断したのちゆっくりと読むと考えられます。

 ですからダウンロードファイルをあらかじめ用意すれば、読者のこの手間を削減することができます。まさに読者への配慮。おすすめです。

 でも問題なのは、lzhファイルやzipファイルに圧縮するのは当然としても、圧縮するファイルをtxtファイルにするかhtmlファイルにするか、という点です。

 htmlを一旦テキストにしてから縦書きビューワで読んだりプリントアウトして読む方は意外に多いようです(僕は根本的に不精な男なので、もう信じられないです)。

 というわけで、ダウンロード用のファイルはtxtの方が良いのではないか、と考えています。もし手間を惜しまないなら、両方用意した方がよいでしょう(ネット小説研究室も一括ダウンロード版を作った方がよいですか?)。

あらすじや世界設定

 「あらすじ」や「人物設定」「世界設定」については以前「共同研究室」で大いに取り上げられました。意外に多かったのが、「『あらすじ』は先が読めてしまうから要らない」という意見。それから「人物設定」や「世界設定」に関しては、「一読を強制するようなら不愉快」「世界設定を読まないと本編を楽しめないなら、その本編は読まない」という意見が多かったです。

 基本的に僕は「あらすじ」はあった方が良いと思っています。それに「人物設定」はともかく、「登場人物紹介」はあると便利かも、と思いました。

 まず「あらすじ」は、その小説を読むかどうかを決定する基準になります。たとえ「新本格探偵小説」と細かくジャンルが表記されていたとしても、純粋なパズラー(「新本格」と云うよりぐっと「本格」寄り)かも知れませんし、躁病気味の探偵が八面六臂の活躍を見せる、もはやアクションに近い探偵小説かもしれません。

 ですから、内容がある程度予測できる「あらすじ」は必要だと考えています。

 それから「登場人物紹介」に関しては、推理小説を読んだことがあるなら、必ず必要だなと感じたことがあるはずです。「登場人物紹介」がない場合は、自分で作ったりしたこともあるでしょう。

 ですから、本編の楽しみを削がない程度の情報量の「登場人物紹介」はあった方が便利かも、と思いました。ひょっとしたら「登場人物紹介」が、本編を読みたくさせるかも知れません。最近は「筋よりキャラクタ」という読者が増えているようですし。

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 これは、どれくらいで読み終わるか、という目安です。

 例えば、読んでも読んでも次ページが出てきて不安になった経験はありませんか? 「あれ、この小説、今日中に読めるのかな?」なんて。

 僕は長編を読むのは躊躇します。なぜなら定期的に訪問し、読み続ける必要があるからです。僕としては、できれば、一時間以内に読了できる分量が好ましいです。長編の中に面白い作品があるのは重々承知しているのですが、短くて面白いなら、それに越したことはありません。

 というわけで、僕が小説サイトを訪れる場合、一時間以内に読了できるかどうか判断できる、何かしらの目安が欲しくなります。

 皆さんも欲しくなりませんか?

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「絶望の世界」からわかること(00/09/22)

「絶望の世界」という大人気のネット小説があります。カウンタは現在(00/09/22)のところ約400万。桁外れですね。

 というわけで、少しだけその特徴から学んでみたいと思います。

 1. 小説は抜群に面白い。
 2. 小説は一作(一シリーズ)で、他のコンテンツは「自己紹介」「コラム」といった副次的なものだけ。
 3. いわゆるアングラな内容である。
 4. レイアウトや色には配慮していないらしい(ハイコントラストの色合わせなど、短所と考えられる要素が多々ある)。
 5. 広告をべたべた貼ったり、自ら「守銭奴」と云ってみたり……通常、管理人が嫌悪される要素もある。
 6. 「コラム」によると、毎日定期的に更新していたらしい。

 小説だけ、しかも一シリーズだけを売りにするというのは、「共同研究室」でも取り上げられていましたが、小説系サイトとして取るべき戦略の一つですね。実際、「ワリミス」(00/09/19)にも書きましたが、竹原さんの「湖底廃園」や、さゆさんの「言紡ぎ師の書斎」など、人気サイトの多くが数作の小説を中心とした構成になっています。サイトを開設したばかりのときは集客数も伸び悩むため、ついつい多種多様なコンテンツを盛り込みがちですが、ここは自分が自信を持って人に勧められるいくつかの作品を中心に構成した方がよいようです。

 そこで、トップページは、メインコンテンツになる自信作へのリンクを中心にし、他のコンテンツ(書評とかエッセイ、以前書いた、あまり出来の良くない短編など)はわざと深い階層の中に置く──要するにリンクを何度か辿らないとそのページに届かないようにして、あくまで副次的コンテンツだと印象づける──という構成を採用した方がよいことになります。まず自信作を読んでもらい、気に入ってもらえれば他の作品もどうぞ、という戦略です。

 これが1、2からうかがえる内容です。次に3に目を移します。

 しばしば見られる意見ですが、「古本屋で市販小説が百円で買えるのだから、電話代と電気代を使ってまでしてアマチュアの書いた稚拙な小説を読む必要はない」という意見があります。意外なことに、ネット上に自作を発表している方が発言していることが多いですね。

 これは確かにその通りでしょう。ネットで小説を探す人が少ないのはそのためですし、小説系サイトの訪問者が伸び悩むのもそのためです。多くの方が「ホームページなんて趣味の産物だし、電話代と電気代がほんのちょっとかかるだけでほとんど無料なんだから、少しは作品が稚拙でも許してよ」という気構えでネット上に作品を発表しているわけですから、読者が獲得できないのも当然と云えば当然の現象ですね。

 ですが、「市販小説よりも面白いネット小説」「市販小説では無理な、ネットでしか読めない小説」なら読者は飛びつくはずです。というわけで、市販小説を凌駕する抜群に面白い小説を書くか、ネット上でしか読めない類の小説を書くという戦略が思い付きます。

「絶望の世界」は後者の戦略で成功した事例でしょう。「成人向け」小説が爆発的なアクセスを産むのも、この戦略の延長線上に当たります。市販小説にはまったく見られない(市販できない)小説、もしくは、市販されていても手に取ることができない小説なら、これはネットでしか読めないわけですから、読者を獲得できる確率は非常に高くなってきます。

 そして4、5ですが、これらは通常、訪問者を妨げる要素になります。しかし「絶望の世界」では、4については作品の雰囲気に適した色合わせとレイアウトでしたから、かえってサイト全体の雰囲気を高める良い効果を招いたようです。サイトのデザインは作品の雰囲気に合わせると良いようですね。

 そして5についてはやはりトラブルがあったようです。日本では一般的に、金銭への執着心に対して悪い印象を持つ傾向がありますから、仕方がないようです。これは無料ホームページスペースを利用している人に対しても向けられるようです(というわけで、僕も引っ越しするかも知れません)。

 6は重要ですね。定期的な更新です。これはリピータが定期的に訪問することになりますから、当然カウンタの回りは早くなります。しかも毎日と云う高頻度であれば、リピータが毎日訪れるわけですからなおさらです。

 以上の点からわかることをまとめると、

 1. 自信作を中心とした構成を採用する。
 2. 自信作は面白くなければならない。
 3. できれば、市販小説との差別化を図る(市販小説でも読めそうな内容にならないよう気を付ける。あるいは、抜群のオリジナリティを発揮する)。
 4. サイトのデザインと作品の雰囲気を適合させる。
 5. 更新は定期的に高頻度で行う。

 以上です。うーん、勉強になりました。

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「競宴」という企画の素晴らしさ(00/09/14)

 鍵屋さんの『奇譚双紙』で「競宴」という企画が開かれています。一つのテーマで何人かの作家が作品を出し合うという企画です。

 この企画、実に素晴らしいですね。一小説家としてではなく、「ネット小説研究室」の管理人としてすごく興味があります。

 まず集客効果が抜群だと思います。例えば、僕もこの企画に参加していますが、いくら読まれづらいネット小説とは云え、確実に読者は付いてくれているのですから、僕の小説を読みたい方が僕のサイトから鍵屋さんのサイトに移動します。次に鍵屋さんのサイトに移動した読者の何割かがほかの参加者(仮にAとします)の作品を目にします。さらに、そのうち何割かはAのファンになってそのAのサイトへ作品を探しに行きます。つまり、

 僕の読者 > 「競宴」参加作品を読みに行く読者 > ほかの参加作品を読む読者 > それをきっかけにしてその作品の作者の読者になる読者

 という形で、読者層を増やすことができます。

 これは力作を投稿すれば、さらに効果的ですし、力作を投稿する作家が増えれば、またその効果は増えていきます。まさに、一色が考究する「効果的な宣伝方法」のひとつと言えますね。しかも、ただカウンタを上げるような宣伝方法ではなく、読者を増やすような宣伝方法ですから、実に良質でいい感じです。

 というわけで、この企画、いろいろなところで開かれるようになると良いな、と僕は望んでいます。

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ワンランク上の知的生活(00/08/07)

 ネットサーフィンをしていると、研究者ではなく一般の方が運営する学術系個人サイトが多いことに驚かされます。知的生活を実践している方がけっこう多いんですね。

 大学生の学力低下や義務教育の簡素化から来る教養不足が問題視されたりする昨今、学術系個人サイトの多さは実に望ましいことだと思います。ただちょっと気になる点があります。

 学術系個人サイトでは、読書量を誇る人をしばしば見かけます。しかもそうした人の多くがかなりプライドが高いです。

 読書量が多いこと自体は少しも悪いことではありませんし、それに誇りを持つことも、まあ良いこととは云えませんが、悪いことでもありません。

 僕が少し疑問に思うのは、市販の書物から得た情報をさも自分の発想の如く伝える点です。

 しばしば掲示板で見かけるのですが(ここの掲示板では見たことがないです)、あるトピックについて論争になっているとき、他人の説を断言形で書き込む人がいます。

 また断言形で書かなくとも、他人の説を述べているにもかかわらず、何だか「偉そうに」書き込んでいる人がいますね。例えば、「ああ、それは○○とも云われてるし、□□とも云われているね」などと。こうした書き込みは、たぶん自分の豊富な知識を披露すること、それ自体に大きな喜びを感じているからでしょう。

 ここは謙虚に「自分ではよくわからないけれども、○○という説と□□という説があります」程度に抑えて書き込むべきです。他人の説を借りることしかできないということは、自分では何もわかっていないと云うことになりますから、実は恥ずかしいことです。ですから、他人の説を伝える場合には、あくまでも「自分は○○とか□□といった他人の説を知っていますが、これを伝えると議論の進捗に役立ちますか」といったスタンスで望むべきです。他人の説の受け売りしかできていないわけですから。

 かといって、論争のさいに自分の意見を伝えるのも楽なことではありません。

 単なる意見交換程度なら、論拠なしに印象だけで意見を開陳しても問題はありません。しかしギリギリの論争をしているとなると、論拠なしの意見には何の価値もありませんし、議論の進捗にも役立ちません。

 ですから、ワンランク上の知的生活を目指すのなら、常に論拠を意識しながら自分の意見を構築すべきです。論拠のない意見は単なる思いつきであって実証性はまったくありません。

 繰り返しになりますが、豊富な読書量だけでは誇れません。他人の説を知っている程度なら、コンピュータや図書館の方がよほど機能的に優れていることになるからです。

 人間が豊富な知識を誇れるとすれば、その知識が論拠として機能するときです。意見を陳述するに当たって具体的な事例を次々と提示できるなら、豊富な知識が活きていることになります。 

 仕入れた知識を組み合わせて独創的な意見を作り出す。そうして初めて知識は活きてきます。知識を活かしていないうち(他人の説の受け売りしかできないうち)は、読書に日々を費やしているとしても、知的生活としては最低ランクに位置するのではないでしょうか?

 ですから、この段階では、まだまだ誇れる状態ではないと僕は思っています。

 ……って、何だか偉そうですね(^^;。

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サイトの再構築(00/07/29)

  もともと飽きっぽい性格なので、ひとつのコーナーをしつこく充実させるよりは、いろいろと新しいコーナーに手を出したくなります。勢いサイト内に更新の止まったコーナーが増えていきますね。

 でも、これはよろしくありません。

 更新が二ヶ月も止まっているようなら休止している旨を告げる必要があるし、更新する気がないのなら、過去ログにしてしまうか完全に撤去するかしなければなりません。

 というわけで、今、サイトの再構築に着手しています。

 更新しているものは更新しているものとして続け、そうでないものはためらうことなく撤去する予定です。

 とはいっても、やはり自分で書いた物。惜しいですね。やはり撤去したくありません。誰も見なくても僕が見るから取っておきたい、なんて思ってしまいます。

 ここら辺は実に難しい。

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衝撃的な中華料理(00/07/28)

 先日、妻の母つまりお義母(かあ)さんが誕生日祝い(だんたんと祝いたくなくなってきました)に中華料理をご馳走してくれました。

 その中華料理屋「天山」は仙台の中心部から少し外れたところにあって(といっても駅から歩いて二十分くらい)、人目に付きにくいビルの地下にあります。看板も控えめで、あまりその存在をアピールしていません。

 店内も実に控えめで、全ての席を埋めても20人は入らないほどです。

 お義母さんから何度も「美味しい」「ものが違う」という絶賛を聞いていたので、どれほどのものだろうとかなり期待。夏期講習を終え、妻と映画を見た後ですから、お腹もいい具合に空いていました。

 さっそく注文。

 クラゲの冷製、エビチリ、バンバンジー、酢豚、餃子、牛肉のオイスターソース炒め(これは店長のサービス)、海鮮肉まん、そして杏仁豆腐(これもサービス)。思い出しただけでもお腹が空いてきますね。

 さっそくクラゲを口にしました。もう衝撃的でした。

 旨すぎです。そこら辺にある中華料理屋のクラゲとは味の質が違います。もう余所では食べられません。

 なんと、すべての料理がこの調子です。どれもこれも衝撃的な美味しさで、味も匂いも食感も最高でした。それまで、これほど中華料理が美味しいと感じたことはありませんでした。

 もう論より証拠。百聞は一件に如かず。ここを読んでいる皆さんにご馳走したいくらいです。それくらい衝撃的な中華料理でした。

 うーん、お義母さん、ごちそうさまでした。

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辞書の話(00/07/19)

 僕は文章を書くときに四冊の辞書を使います。

 まず岩波の『広辞苑』。これは必ず使います。開かない日はないくらい。だいたい膝の上に載せてます。文章を書いている間は載せていることをすっかり忘れていて、足が痺れ始めてからようやく気付きます。僕は勉強机(←何だか懐かしい響き)のほかに「辞書載せ台」を近くに用意していて、使った辞書はみんなそのうえに載せます。(机の上はとっちらかっていて、広辞苑を載せるには甚だ不安定な状態なので〔たまに雪崩が起きるほど〕、机とは別に辞書を載せる台を用意しました。珈琲や読みかけの推理小説なんかも載ってます)。

 次に使うのが小学館の『現代国語例解辞典』。別に愛着があるわけでもないし、特別便利だなあと感じたこともありませんが、高校以来ずっと使っています。確か高校に入学したときに強制的に買わされた辞書です。まあ、広辞苑が実に重いので、簡単な言葉を引くときなんかにこの辞典を手にします。ただし引いてみても調べたい語が載っていないことが多いので、けっきょく広辞苑に当たることが多いですね。そんなとき「なんで最初から広辞苑を引かなかったんだろう」と後悔します。

 これは便利!と思ったのが、講談社の『究極版・逆引き頭引き日本語辞典』。「究極版」とあるあたりは何だかなあ。でも便利です。

 この辞書は日本語特有の言い回しを調べる辞書で、例えば、「記憶」を引くと、「洗い直す」「新たにする」「いぶかる」など「記憶」とともによく使われる動詞が列挙されています。逆に「洗い直す」を引くと、「事件」「吟味」「まわり」など「洗い直す」とともによく使われる名詞が列挙されています。サンプル数が少ないのが残念なものの(引いても見つからない場合が多い)、こうした辞書は日本で唯一だそうですから仕方ありません。

 最後に角川の『類語新辞典』。著名な類語辞典なので、知っている方使っている方も多いと思います。

 文章を書いていると、同じフレーズや単語を繰り返し使わざるを得なくなるときがあります。論文を書いているときなんかは「考察する」や「わかる」を、見開き1ページあたり十数回の頻度(←適当な数字)で使わなくてはなりません。そんなときは「考察する」を「分析する」「検討する」「考えてみる」といった表現に、「わかる」を「看取できる」「うかがえる」「〜と思わせる」といった表現に変えてバリエーションを付けます。しつこく同じ言葉を使ってみても良いわけですが、なんとなく避けたくなりますね。類語辞典はそんなとき実に便利です。

 ほかには『現代用語の基礎知識』なども使いますね。論文執筆ではもちろん角川『新字源』は手放せないですし、今年増補版が出版されたばかりの諸橋『大漢和辞典』も頻繁に使います。

 というわけで、文章を書いたあとには書斎はとんでもないことになります。辞書(山積み。諸橋大漢和が五六冊に広辞苑や類語辞典など)、資料(わりと整理されている。コピー、単行本)、論文(山積み。コピー、雑誌、単行本)、息抜きで読んだマンガ(ジョジョかドカベン)、これまた息抜きで読んだ推理小説、珈琲を飲んだあとの空マグカップ(三つも四つも)、コーラのペットボトル(五つも六つも!)……が、わずか四畳前後の書斎にひしめいてます。

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実験サイトの報告(00/07/05)

ネット小説研究室」の右上に「人気サイトを実験する」とあることにお気付きでしょうか? 「人気サイトの条件とは?」「ネット小説はなぜ読まれない」につづく第三章の位置にあります。しかし、いまだにデッドリンクのままですね。

 この「人気サイトを実験する」は、「ネット小説研究室」での研究成果を活かして、実際に「人気サイト」を作ってみよう、という企画です。そのために作成したサイトが「DarkSide」。今や、自作の小説は主にこちらで発表しています。

人気サイトの条件とは?」では、人気サイトの条件として次の四点を挙げました(今では、これに「5.優秀な作品を発表している」を付け加えたいと考えています)。

1.綺麗なイラストが豊富
2.特定の作家のファンページを兼ねている
3.それどころか、現役プロ作家自身が運営している
4.現役作家ではなくとも、同人誌活動等で既に名前を広く知られている方が運営している

 このうち、3と4はとりあえず無理(人気サイトを作るためにまず現役プロ作家になるという手はあります(^^;)。1についても画才がないので無理でした。

 そこで、2の「特定の作家のファンページを兼ね」た小説サイトを作ることにしました。

 取り上げた作家は「京極夏彦」と「上遠野浩平」。いずれも人気作家です。特に上遠野浩平は、初のファンタジーミステリ『殺竜事件』が六月発売だったので、時期的に良いと考えました。

 ですが、これには大問題がありました。

 ファンページを作るには、それなりの情熱が必要なのです。いろいろなファンページを覗くにつれ、僕にはこの情熱が欠けていることに気付きました。情熱が欠けていれば、コンテンツは自然と貧弱になり、当然リピータを獲得することもできません。もちろんライバルに勝てるはずがありません。

 そこで、早々と路線を変更。自作の小説をメインにし、同時に「FFF補完計画」や「もし京極堂シリーズから「ベストナイン」を選んだら」といった企画もののコンテンツを作りました。

 この頃、宮村秋桜子さんと懇意になり、リンクをはっていただいたり、小説のメインキャラクタのイラストをいただいたりと、ものすごくお世話になりました(心から感謝しています)。宮村さんがいろいろと宣伝して下さったお陰で、それまでの一日5〜15ヒットから一日40ヒットまで伸び、小説も読んでいただけるようになりました(宮村さんは僕のほとんどの作品を読んで下さり、そのうえ感想まで下さいました。どれだけ創作の励みになったことか。思い出しただけでじーんときます)。

 というわけで、「DarkSide」は今は一日40ヒットほどのサイトになりました。

 でも、「人気サイト」と称するには、まだまだ遠い気がします。「人気サイトを実験する」がいまだにデッドリンクなのは、そのためですね。

 僕としてはとても満足しています。カウンタよりも何よりも、自分の作品を読んでいただけ、さらには心のこもった感想までいただけたからです。

 この場を借りて「DarkSide」に来て下さった皆さんに感謝します。特に、宮村さんに心から感謝の意を表します。

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