コラム「創作モノ事情」
著作権に対する誤解と回答
はじめに
Q1 サイトに雑誌の切抜きや絵を乗せるのは私的利用?
Q2 引用は何でもできる?
Q3 勝手に他のサイトや雑誌にURLを掲載された
Q4 ページデザインを盗まれた!
Q5 二次創作は著作権侵害?
Q6 歌の歌詞を掲載したい
Q7 どんな物語でも無断転載は禁止なの?
Q8 著作権表記がないサイトからは転載できるの?
Q9 画像そのままでなければ転載可能?
Q10 サイトに送られてきたメールは無断で転載してもいい?
Q11 フレーム内リンクは著作権侵害?
Q12 ネタ被りは先発優位?
Q13 www上にあるものは公開されているから転載可能のはず


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■はじめに

 ネットの常識・非常識1LVコンテンツとネチケットを考える - 著作権、肖像権でも触れましたが、ネット上にも当然ながら著作権法が適用されます。ここでは著作権に関してよく見かける誤解とその回答を随時掲載していきます。
※詳しくは著作権、肖像権のリンク集や著作権法を参照してください。また、リンクに関する著作権についてはリンクフリーと無断リンク禁止をご覧下さい。


Q&A

Q1:サイトに雑誌の切抜きや絵を載せるのは私的利用?
A:NO。ネット上に掲載された時点で世界中どこからでもアクセスされる可能性があります。サイト上に著作物を掲載することは私的利用には当たりません。

Q2:引用は何でもできる?
A:NO。引用に関しては規定があります。
■出典を明確にすること
→Webページからの引用ならどのサイトのどのページか
■引用部分が明確であること
→引用部の文頭に>をつける、引用部を『』で囲むなど
■本文と引用部が主と従の関係にあること
→引用部が全体のメインではいけない
■引用部分が充分短いこと
→場合にもよるが、本文より長いようでは問題有
■引用する必要性があること
→当然必要がなければ公正ではない
■報道・研究・批評など公正な目的であること
→観賞用に許可なく小説の冒頭を羅列したものなどは不可
 以上の範囲で収まらないなら、著作者に許可を取るか、あきらめる他ありません。また、引用対象が画像などの場合全文引用=無断転載とみなされる可能性があります。

Q3:勝手に他のサイトや雑誌にURLを掲載された
A:URLは性質上存在自体が公開されたものであり、著作権を主張できるものではありません。

Q4:ページデザインを盗まれた!
A:サイト作成ソフトやWeb上で配布されているテンプレートを使用した場合、相手も同じものを使った可能性があります。また、サイト内容によってはどうしても似てしまう可能性があります。それも踏まえた上で、複数の閲覧者が似ていると思う程度のものなら、メールで相手サイトの管理人に尋ねてみるのもよいかもしれません。ただ、よほど似ていなければ著作権侵害とはならないでしょう。
 Web上で独自にHTMLを勉強してきた方のなかには、自分が特定のタグの記述を発見したように錯覚する方もいらっしゃるようですが、すべてはもともと用意されていたものの組み合わせです。テーブルの色や線の幅・色程度などでは似ているとは言えません。


Q5:二次創作は著作権侵害?
A:宣伝効果が期待できることもあり、二次創作を歓迎する原作者もいます。詳しくは原作者・メーカーのサイトを参照してください。
 二次創作をサイト上にアップした時点で複製となり、著作権侵害ですが、原作者が訴えない限り処罰はありません。現在、ほとんどのメーカーや原作者などは黙認している状態です。二次創作を掲載する際はそのことを忘れず、各自の責任で行ってください。


Q6:歌の歌詞を掲載したい
A:歌詞にも著作権があり、全文掲載は著作権侵害になる場合があります。詳しくはJASRACのページなどで調べてみましょう。

Q7:どんな物語も無断転載は禁止なの?
A:神話伝承など、著作権の切れている著作物や、著作者が特定できない著作物は掲載可能です。ただし、出版社により大きな翻訳の違いなどがある場合、その出版社独自の部分に著作権が発生する可能性があります。
 著作権は現在、日本では作者の死後50年までとなっています。


Q8:著作権表記がないサイトからは転載できるの?
A:オンライン上、及びオフラインの著作物の著作権は、創作物が製作された時点で自動的に発生しています。著作権表記があってもなくても、著作権は著作者が所有しています。

Q9:画像そのままでなければ転載可能?
A:NO。いわゆるトレースや、元絵を見て描いたとしても著作権侵害になります。雑誌の写真・絵などをデジカメで撮ったもの、加工したものなども同様です。

Q10:サイトに送られてきたメールは無断で転載してもいい?
A:NO。メールにも創作性がある場合は著作権があります。また、プライバシーの侵害になる場合もあります。個人的なメールを恒常的に不特定多数の目に触れるサイト上に掲載したり、他人に転送してはいけません。
 ただし、不特定多数に送信されたメールはこの限りではありません。また、特定の立場にある方(検索エンジンの登録者など)に送られるお知らせメールは大勢の方に知らせて欲しい件である場合が多いため、転載されても訴えられる可能性は低いでしょう。その場合も、引用で済ませることができる場合は引用に留めたほうが無難です。

Q11:フレーム内リンクは著作権侵害?
 フレームの内に他のサイトを表示することは非常に嫌われます。表示するサイトの管理人から許可をいただいている場合はともかく、他のサイトのコンテンツを自分のサイトのコンテンツとして紹介しているとみられる場合著作権侵害を問われかねません。フレームのあるページから他のサイトへリンクを張る場合、
<A href="URL" target="_blank">リンク</A>
で新しいウィンドウに開くか、
<A href="URL" target="_top">リンク</A>
で画面全体に開くようにしましょう。

Q12:ネタ被りは先発優位?
 これは斬新だと思うネタ(テーマ、アイデア)でも、大抵の場合は先発がいます。先発のみが優先権を持っていたら、今の世代はほとんど創作活動はできないでしょう。著作権は先発後発に限らず、公表された創作物の著作者に等しく与えられます。多くの第三者から見ても明らかな盗作でない限り、後発だからといって作品を下げるように迫るのは後発の著作権を侵す恐れがあります。
 お約束や王道のように言われるネタ、季節物や流行など、どうしても話のパターンが限られるものもあり、文章の場合「内容」で盗作かどうかを判断するのは難しいでしょう。

Q13:www上にあるものは公開されているから転載可能のはず
 wwwにアップした時点で全世界に向けて公開したものとみなされますが、全世界に公開しているからといって、それをどこにでも転載してよいということにはなりません。転載元を明記し、引用の範疇にとどめなければ著作権の侵害になるでしょう。


創作性の有無の判断
 ある文章などに著作権があるかどうかを判断する基準となるのが、創作性の有無です。創作性さえあればデータベースやフレーズにも著作権があると言われていますが、創作性の有無の判断は難しいケースもあります。誰でも思いつくような内容や組み合わせではなく、独自性が求められるでしょう。
 事実を伝えるだけの報道などに著作権は認められていないからといって、オンライン上の日常の様子や個人の思想を記した日記やメールに著作権はないということはありません。あきらかに独自性があり、オフラインでもエッセイや日記といった出版物があります。掲示板の書き込みにも著作権が認められた判例があり、それらの扱いに注意を払うと同時に、著作権保護の対象ともなるウェブ上の発言は全世界に出版されたのと同義であり、相応の責任も伴うということを自覚しておくべきでしょう。
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