アクセス向上に関するちょっとした誤解 |
---|
■はじめに ■訪問者層を考える(1) ■訪問者層を考える(2)──体験談 ■カウンタに関する誤解 ■宣伝はしない方が良い? ■「客寄せパンダの功罪」──体験談 ■陥りがちな落とし穴(1)──体験談 ■陥りがちな落とし穴(2) ■まとめ |
■訪問者層を考える(2)──体験談 |
---|
体験談をひとつ。 「DarkSide」では合計十一の話を公開しています(00/11/22現在)。このうち九つが同一シリーズ(登場人物と舞台が同じ)の話です。 この九つの話は
という内訳になっています。おおむね好評なのは、(1)のコメディタッチの話。次に(2)のサイコタッチの話と続きます。アクセスが最も多いのはこの(2)の方で、多くの方が「DarkSide」を訪れると、まず(2)の『魔刻』という長編(連載中)を開くようです。 ここで問題なのは(1)と(2)の読者層が分離している、という点です。 (1)を気に入って下さった方から(2)に対して苦情が来ることがしばしばあります。内容は「こんな話だとは知らなかったので驚いた」です。((2)を気に入って下さった方から苦情が来たことは今のところありません。) このように、対象読者層が異なる作品を載せた場合、(1)で(2)の読者を失い、(2)で(1)の読者を失うことになるようです。(1)を気に入って(2)を読んだ方は「何! こんなグロテスクな話も書くの! 最悪!」と怒るでしょうし、(2)から(1)へ進んだ方は「何、これー。ものたりなーい。もっとすごいのないのー」と不満を覚えるでしょうから。 まして、同じ「オリジナル小説」だからといってサイコホラーの『魔刻』と青春小説の『雨の上がったその後に』を同じサイトに載せてしまったら、リピータを失うのは目に見えています。確かに、両方の小説で集客できるのでカウンタは伸びると思います(両サイトの一日平均アクセス数はこちらをご覧下さい。この合計がアクセス数になると予想されます)。しかしその伸びはすぐに収まるでしょう。 どうやら、サイトへの訪問者層を意識することが重要な要素になってきそうです。人気小説系サイトの多くが数作の看板小説しか持たず、作品間でジャンルの幅が少ないのは、ターゲットを絞るという戦略で成功しているから、かも知れません(意識的かどうかは別として)。 |
■「客寄せパンダ」の功罪──体験談 |
---|
体験談をひとつ。 引きこもり少年による少女拉致監禁事件を題材にした「飼育日記」という小説を、以前、「DarkSide」に載せていました(現在はトップページから削除)。題材の関係上、露骨な描写(性・暴力)が含まれるので、ジャンルとしては「成人向け」に登録しました(もちろん実験も兼ねています)。 その結果、一日に300名近い集客数を得られ、その後も漸減しつつ継続してアクセスを得たことは「ジャンル『成人向け』の集客効果」でお伝えしました。ちなみに現在(00/11/22)も一日平均15のアクセスを得ており、六月初旬の登録以来、累計でのべ一万名弱の方がこのファイルを開きました(UltraRanking調べ)。 さて、この小説のお陰で、「DarkSide」へのアクセス数は最高で190を記録し、その後も約三週間に渡って50-90アクセスを維持しました(その後、更新停滞とともにアクセス数は漸減し、一日約15名にまで落ち込みました)。この点で、「成人向け」小説は「DarkSide」のアクセス向上に絶大な効力を発揮したと云って良いでしょう。 しかし問題は「DarkSide」に来て下さった方のほとんどがまず「飼育日記」を読む、という点にありました。 「飼育日記」を求めて「DarkSide」に来て下さった方は、ほとんどの方が監禁を題材とした「成人向け」小説を求めて来て下さったことになります。このうち何割かは「飼育日記」に幻滅してリピータになるのをやめ、何割かは「飼育日記」と同じような小説を求めてリピータになって下さったと思います。 ところが、僕が書きたい小説は「ミステリ」「ホラー」です。もしくは「ファンタジー」か「青春小説」も書きたいと感じていました。「飼育日記」を目当てに来て下さった方は、「ホラー」ならその求めているものに近いかも知れませんが、「ミステリ」「ファンタジー」「青春小説」ならかなり遠いと云わざるを得ません。 したがって、ここに「訪問者層のずれ」が生じます。僕が書きたいものと訪問者が求めているものとの間に大きな「ずれ」が生じているんですね。ここで、僕にとって不都合な点がいくつか生じます。
どう転んでも不都合なことばかりです。ですから「成人向け」小説での集客は、目先の効果はあるものの、戦略的には失敗だと云わざるを得ません。 ここで述べてきた体験談はかなり極端な例だと思います。しかし自分が本来サイトで展開したい内容と、集客のために設けたコンテンツとの間に「ずれ」が生じていた場合、これと類似の結果に帰結する可能性はきわめて高いと云えるでしょう。 気を付けるべきはそのコンテンツが集める「訪問者数」ではなく、「訪問者層」です。 |
■陥りがちな落とし穴(1)──体験談 |
---|
さて、上で「訪問者数ではなく、訪問者層に注意すべき」と述べました。 これはサイトのコンテンツ編成にも関わる重要な点です。 例えば、「鉄琴銅剣楼」は、以前、オリジナル小説を発表する「MysteryLab」、今のメインコンテンツである「ネット小説研究室」、中国古代を真摯に扱った「平津館」、文系の受験を応援する「寺子屋オンライン」など、雑多なコンテンツを含んでいました。これは趣味が赴くままにコンテンツを付け足したからです。 しかしそのままでは「訪問者層」に差がありすぎました。「平津館」を気に入って下さった方にとっては、「MysteryLab」といった趣味系コンテンツは不純なものに見えたでしょうし、「ネット小説研究室」を気に入って下さった方にとっては、「平津館」などはまったく興味を抱けないコンテンツだったでしょう。 したがって総合で一日100以上(最大で300くらい)のアクセスはありましたが、それぞれのコンテンツに振り分ければ、30程度に収まったと思います。また掲示板の話題は定まらず、小説ネタのときもあれば、中国ネタのときもありました。これは書き込みしようとした人に大きな負担をかけていたはずです。 そこで、思い切って「ネット小説研究室」だけにコンテンツを絞りました。当時、「ネット小説研究室」がもっとも集客しており、もっとも反響があったからです。 この再構築で、アクセス数はいったん下がりました。しかしコンテンツが定まったことで、「楽園」や「真・小説げったあ!」といったポータルサイトからリンクを張っていただくことができ、アクセス数は安定して伸びました(感謝しています)。現在は宣伝は一切なしで、一日平均90-100アクセス(土日除く)を得ています。 |
■まとめ |
---|
カウンタ数が表示するのは「訪問者数」に過ぎません。この見かけの「訪問者数」を増やすためだけに採られる手段の多くには、戦略的に見て失敗と云わざるを得ないものが多々あります。 ですから、アクセス向上のために手段を講じるさいには、その手段が集める「訪問者層」に注意し、その手段が効果的なのかどうか一度じっくりと考えるべきだと思います。 |
Copyright(c)2000 A.Isshiki
All Rights Reserved